第四章 土地等の使用

(一時使用)

第五十八条  電気事業者(特定規模電気事業者を除く。以下この章において同じ。)は、次に掲げる目的のため他人の土地又はこれに定着する建物その他の工作物(以下「土地等」という。)を利用することが必要であり、かつ、やむを得ないときは、その土地等の利用を著しく妨げない限度において、これを一時使用することができる。ただし、建物その他の工作物にあつては、電線路(その電線路の維持及び運用に必要な通信の用に供する線路を含む。)又はその附属設備(以下「電線路」と総称する。)を支持するために利用する場合に限る。

一  電気事業(特定規模電気事業を除く。以下この章において同じ。)の用に供する電線路に関する工事の施行のため必要な資材若しくは車両の置場、土石の捨場、作業場、架線のためのやぐら又は索道の設置
二  天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、緊急に電気を供給するための電線路の設置
三  電気事業の用に供する電気工作物の設置のための測標の設置

2  電気事業者は、前項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、十五日以内の期間一時使用するときは、この限りでない。

3  通商産業大臣は、前項の許可の申請があつたときは、その旨を土地等の所有者及び占有者に通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

4  電気事業者は、第一項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、あらかじめ、土地等の占有者に通知しなければならない。
ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用の開始の後、遅滞なく、通知することをもつて足りる。

5  第一項の規定により一時使用しようとする土地等が居住の用に供されているときは、その居住者の承諾を得なければならない。

6  第一項の規定による一時使用の期間は、六月(同項第二号の場合において、仮電線路を設置したとき、又は同項第三号の規定により一時使用するときは、一年)をこえることができない。

7  第一項の規定による一時使用のため他人の土地等に立ち入る者は、第二項の許可を受けたことを証する書面を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。ただし、同項ただし書の場合は、この限りでない。

(立入り)

第五十九条  電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、通商産業大臣の許可を受けて、他人の土地に立ち入ることができる。

2  前条第三項の規定は、前項の許可の申請があつた場合に準用する。

3  前条第四項、第五項及び第七項本文の規定は、電気事業者が第一項の規定により他人の土地に立ち入る場合に準用する。

(通行)

第六十条  電気事業者は、電気事業の用に供する電線路に関する工事又は電線路の維持のため必要があるときは、他人の土地を通行することができる。

2  前項の規定により他人の土地を通行する者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3  第五十八条第四項及び第五項の規定は、電気事業者が第一項の規定により他人の土地を通行する場合に準用する。

(植物の伐採又は移植)

第六十一条  電気事業者は、植物が電気事業の用に供する電線路に障害を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある場合又は植物が電気事業の用に供する電気工作物に関する測量若しくは実地調査若しくは電気事業の用に供する電線路に関する工事に支障を及ぼす場合において、やむを得ないときは、通商産業大臣の許可を受けて、その植物を伐採し、又は移植することができる。

2  電気事業者は、前項の規定により植物を伐採し、又は移植しようとするときは、あらかじめ、植物の所有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、伐採又は移植の後、遅滞なく、通知することをもつて足りる。

3  電気事業者は、植物が電気事業の用に供する電線路に障害を及ぼしている場合において、その障害を放置するときは、電線路を著しく損壊して電気の供給に重大な支障を生じ、又は火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害するおそれがあると認められるときは、第一項の規定にかかわらず、通商産業大臣の許可を受けないで、その植物を伐採し、又は移植することができる。この場合においては、伐採又は移植の後、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出るとともに、植物の所有者に通知しなければならない。

4  第五十八条第三項の規定は、第一項の許可の申請があつた場合に準用する。

(損失補償)

第六十二条  電気事業者は、第五十八条第一項の規定により他人の土地等を一時使用し、第五十九条第一項の規定により他人の土地に立ち入り、第六十条第一項の規定により他人の土地を通行し、又は前条第一項若しくは第三項の規定により植物を伐採し、若しくは移植したことによつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、通常生ずる損失を補償しなければならない。

第六十三条  前条の規定による損失の補償について、電気事業者と損失を受けた者との間に協議をすることができず、又は協議が調わないときは、電気事業者又は損失を受けた者は、当該土地等若しくは土地又は障害となつた植物の所在地を管轄する都道府県知事の裁定を申請することができる。

2  第三十二条第二項から第四項まで及び第三十三条の規定は、前項の裁定に準用する。この場合において、第三十二条第二項及び第三項中「通商産業大臣」とあるのは、「都道府県知事」と読み替えるものとする。

3  損失の補償をすべき旨を定める裁定においては、補償金の額並びにその支払の時期及び方法を定めなければならない。

(原状回復の義務)

第六十四条  電気事業者は、第五十八条第一項の規定による土地等の一時使用が終わつたときは、その土地等を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて通常生ずる損失を補償して、その土地等を返還しなければならない。

(公共用の土地の使用)

第六十五条  電気事業者又は卸供給事業者は、道路、橋、溝、河川、堤防その他公共の用に供せられる土地に電気事業又は卸供給を行う事業の用に供する電線路を設置する必要があるときは、その効用を妨げない限度において、その管理者の許可を受けて、これを使用することができる。

2  前項の場合においては、電気事業者又は卸供給事業者は、管理者の定めるところにより、使用料を納めなければならない。

3  管理者が正当な理由がないのに第一項の許可を拒んだとき、又は管理者の定めた使用料の額が適正でないときは、主務大臣は、電気事業者又は卸供給事業者の申請により、使用を許可し、又は使用料の額を定めることができる。

4  前三項の規定は、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)の規定による道路並びに同法第十八条第一項の規定により決定された道路の区域内の土地及び当該土地に設置された道路の附属物となるべきものについては、適用しない。

5  主務大臣は、次の場合は、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。

一  第三項の規定により使用を許可し、又は使用料の額を定めようとするとき。
二  電気事業者又は卸供給事業者が電気事業又は卸供給を行う事業の用に供する電線路を設置するため前項の道路又は道路となるべき区域内の土地若しくは当該土地に設置された道路の附属物となるべきものを占用しようとする場合において、道路法第三十九条第一項(同法第九十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により道路管理者が徴収する占用料の額の決定又は同法第八十七条第一項(同法第九十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により許可若しくは承認に条件を付したことについての審査請求又は異議申立てに対して裁決又は決定をしようとするとき。

(準用)

第六十六条  第六十一条第三項、第六十二条及び第六十三条の規定は、特定規模電気事業者及び自家用電気工作物を設置する者に準用する。この場合において、第六十一条第三項中「電線路を著しく損壊して電気の供給に重大な支障を生じ、又は火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害する」とあるのは、「火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害する」と読み替えるものとする。